腸脛靱帯炎(ランナー膝)
腸脛靭帯炎は長距離ランナーに多く見られ、「ランナー膝」とも呼ばれます。
膝関節の屈曲角度により腸脛靭帯の機能は変化するため、屈曲が約30度のときに最も炎症が生じてきます。症状としては、足の着地直後に痛みが発生します。
ランニングフォームの問題(股関節の内転や膝関節の内旋など)が関連しており、外側半月板損傷や外側型変形性膝関節症などとの鑑別が必要です。
加えて、着地時の衝撃吸収機能として、足底のアーチ機能・足底筋膜の状態も確認も大切です。
ランニングフォームと筋収縮
ランニングフォームは、多くの研究者が動作分析を行っており、フォームにおける関節や筋肉・腱に掛かるストレスについて比較的研究が進んでいます。
そういった力学的研究をもとに、サッカーやテニス・ラグビーなどのリアクティブなスポーツにおける膝周囲の腱損傷の診療にも大変役立っています。
膝蓋骨の位置異常
膝関節周囲の腱損傷は骨盤・股関節・足首といった下肢のアライメントを検査し、どの腱に異常が出ているかを評価することが最初に必要となります。
腱の張りには「筋肉の収縮と伸長」の2種類ありますが、この2つの治療法は全く逆の行為を行わなければならないので、「事前評価」が最も大切になります。
特に膝蓋骨は大腿四頭筋に包まれているため、腱の緊張で位置異常が発生します。
「ジャンパー膝」では膝蓋靭帯(四頭筋腱)の異常により上方変位を伴い発生することが多く、成長期では「オスグット病」といった障害が起こります。
その為、何故腱が張っているのかを明確にしなければなりません。
これ以外にも、大腿・下腿骨の捻れによりQ角(上図)に異常が出ると、下記リンクのような症状にも繋がります。
鵞足炎
当院には「鵞足炎」と診断前の方が来られることは少なく、「鵞足炎が治らない」もしくは「繰り返す」という方が多いので、説明については簡単にさせていただきます。
鵞足炎は膝関節内側の疼痛が特徴で、「縫工筋」・「薄筋」・「半腱様筋」の3つの腱が付着する部位で炎症が生じます。
スポーツによる繰り返しの外力や高齢者の変形性膝関節症に伴うことが多く、膝関節内側に圧痛や運動時痛がみられます。
他の膝関節周囲の腱障害
膝周囲にはその他にも
・半膜様筋腱付着部炎
・膝窩筋腱付着部炎
・大腿二頭筋腱炎
・半膜様筋腱付着部炎
・膝窩筋腱付着部炎
・大腿二頭筋腱炎
などが発生することがあります。
これらの治療も他の腱障害と同様に、柔軟性を高めることや筋力強化、姿勢改善などが重要です。
これらの治療も他の腱障害と同様に、柔軟性を高めることや筋力強化、姿勢改善などが重要です。
大腿骨と脛骨の動きの触診
この検査で荷重時にどのような不均衡な力が掛かっているかが分かります。
どの動きが硬く、どの動きが不安定になるかを見ていきます。
脛骨の内側と外側の触診
内側と外側の筋緊張を見ることで、膝蓋骨に掛かる力を読み取ります。