鵞足炎・腸脛靱帯炎

Pes Anserine Bursitis・Iliotibial band friction syndrome

鵞足炎

 当院には「鵞足炎」と診断前の方が来られることは少なく、「鵞足炎が治らない」もしくは「繰り返す」という方が多いので、説明については簡単にさせていただきます。
 
鵞足炎は膝関節内側の疼痛が特徴で、縫工筋、薄筋、半腱様筋の3つの腱が脛骨近位内側部に付着する部位に炎症が生じます。スポーツによる繰り返しの外力や高齢者の変形性膝関節症に伴うことが多いです。症状としては、運動時に膝内側の圧痛がみられます。

腸脛靱帯炎(ランナー膝)

腸脛靭帯炎は長距離ランナーに多く見られ、「ランナー膝」とも呼ばれます。膝の屈曲角度により腸脛靭帯の機能が変わるため、膝の屈曲が約30度のときに最も炎症が生じやすいです。症状としては、足の着地直後に痛みが発生します。
ランニングフォームの問題(股関節の内転や膝関節の内旋など)が関連しており、外側半月板損傷や外側型変形性膝関節症などとの鑑別が必要です。
 

他の膝周囲の腱障害

膝周囲にはその他にも
・半膜様筋腱付着部炎
・膝窩筋腱付着部炎
・大腿二頭筋腱炎
などが発生することがあります。
これらの治療も他の腱障害と同様に、柔軟性を高めることや筋力強化、姿勢改善などが重要です。

ランニングフォームと筋収縮


 ランニングはこれまでトップアスリートの選手を見てきた中で最も早期に出会ったスポーツです。自分自身の経験でも20年の歴史が築されてきて、多くの膝周囲の腱損傷の方を治療してきました。
 またランニングはフォームの分析研究が比較的進んでいるため、関節や筋肉・腱にかかるストレスについて、多くの研究者たちの力も借りやすいのも心強い味方となっています。
 そういった力学的研究をもとに、サッカーやテニス・ラグビーなどのリアクティブなスポーツにおける膝周囲の腱損傷の診療にも大変役立っています。
 

Q角の増大

 膝周囲の腱損傷は股関節・骨盤・足首といった下肢のアライメントを見ることで、どの腱が伸長されていて、どの腱が縮んでいるのかを評価することが最初に必要なことになります。
腱が張っているというのは、筋肉が縮んで起こっている場合と筋肉が伸ばされて起こっている場合と2種類ありますが、その2つは治療が全く逆の行為を行わなければならないので、「事前評価」が最も大切になります。
他のページの理論と重なる部分が多いので、そちらもご参照ください

大腿骨と脛骨の動きの触診

この検査で荷重時にどのような不均衡な力がかかっているかがわかります。
どの動きが硬く、どの動きが不安定になるかを見ていきます。

脛骨の内側と外側の触診

内側と外側の緊張を見ることで膝蓋骨にかかる力を読み取ります。